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先月末の西吾妻山遭難事故がなぜ起きたのか? 皆さんと一緒に考えてみましょう。

米沢市の西吾妻山で遭難 仙台市の53歳男性 2日ぶりに無事発見。

おとといの1月30日に、同行者女性と米沢市の西吾妻山に入り行方が分からなくなっていた仙台市の男性が1日午後、発見されました。意識があり、命に別条はないという。

無事発見されたのは、仙台市の会社員、Nさん53歳。警察によりますと、Nさんは1月30日の午前9時ごろ、米沢市の天元台スキー場からリフトを使って西吾妻山に登山に入った。その後、2人は山頂付近で別行動をとり、同行した女性が先に下山しましたが、30日夕方になってもNさんが戻らないので警察に通報したということです。携帯を持っていたが繋がらない状態です。警察や消防などによる捜索2日目の1日午後1時45分、宮城県警ヘリ「まつしま」が福島との県境付近の斜面を下っているNさんを発見。Nさんはヘリで救助され、手足や顔などに凍傷が見られたが命に別条はないという。Nさんはチョコレートなどの軽食しか持っておらず、宿泊道具も持っていなかった。 (さくらんぼテレビ)

吾妻連峰は好天だったらビッグモンスターができる最高のロケーションです。

下記は、山岳遭難ニュースを見てSNSの書き込みコメントです。

①無事でよかった。
遭難は当然しないほうがいいですが、雪山で命を落とさなかった経験は今後誰かが活かせるかもしれないので、どのように過ごしていたのか開示いただけるといいかなと思う。

②雪山で宿泊装備無しで2晩生き延びたのはすごい!
雪洞など掘って寒さを凌いだのだろうか?
いずれにしても雪山で生き抜いたスキルを賞賛します。おそらく、雪穴を掘ってビバークしたのだろう。雪洞を掘るだけの用具はなかったと思われる。ちょっとした知識と経験の違いが生死を分けることが多い。

③私は1/30に近くのゲレンデにいましたが、あの気温と風では恐らく夜の体感温度は-20℃-30℃台だったと想像できます。
従って、避難小屋やツェルトを使用し雪洞を掘ってのビバークでなければ生きていなかったでしょう。で、そのどちらの可能性が高いかといえば、1/31に捜索隊が捜索しているので避難小屋ではなく、ルートを外れたビバークの可能性が高い。
その際スコップが無いと穴を掘れないのでスコップは持っていたと思われます。
記事では「宿泊道具を持っていない」との表現から、宿泊道具とはシュラフやマットのことでツェルトは持っていたかもしれません。
また、2日間水分を取らないわけにはいかないので、バーナーで雪を溶かして飲んでいて、準備に抜かりなかったと思われます。

④荒天で中止にする勇気が無かったことやトラブルによりパートナーと一緒に下山しなかったことは悔やまれますが、無事に下山出来て何よりでした。

⑤登山を行う1人として厳しいと事を書きます。
道迷い、疲労などアクシデントは仕方ない。
しかし、軽装過ぎる。特に雪山、厳冬期、最積雪期の山だ。ビバーク装備(ツェルト、エマージェンシーシート、ガス&バーナー、非常食、防寒着、ヘッデン)は必ず担いで登らなければならない。
可能なら、ココヘリ、アバランチビーコン等。軽い凍傷で済んで何よりだが、これは幸運だっただけで死んでも仕方がない。
山なんて好き登ればいいが、それは適切な装備、余裕のある体力と精神、準備と訓練を前提としての事。
それが整わないなら登山しないで欲しい。

冬山でいちばん怖いのは、悪天候に見舞われたときだ。 悪天候下では、転滑落、ルートミス、低体温症、凍傷、雪崩など、さまざまなリスクに遭遇する可能性が格段に高くなる。 実際、冬山での過去の大きな遭難事故のほとんどは、悪天候のときに起きている。

西吾妻山付近はなだらかな形状で、悪天候になれば爆風やホワイトアウトになりやすく道迷いにも注意しなければならない。

地図コンパスや地図アプリを活用したルートファイデング技術が試される難コースに変わる。

吾妻連峰の地形図が描かれている、山と高原地図から参照する

*なぜ、遭難事故が起きたのでしょうか?

詳細が分からないのでなんとも言えないんですが、私なりに検証してみました。

天元台スキー場からリフトで西吾妻山をめざすルートは雪山のグレーディングは技術1体力1くらいの初級コースと云われています。しかし、天候次第では爆風やホワイトアウトで難度が増して上級者向けになります。冬山で一番怖いのは、悪天候による、転倒滑落、ルートミス、低体温症、凍傷、雪崩など、さまざまなリスクに遭遇する可能性が格段に高くなります。

ここで、問題点をあげてみると、

1/30は悪天候だったにも関わらず中止しなかった。スタートしても引き返すポイントがあった筈?

②なぜ同伴者と山頂付近で別れたのか?単独行はリスクが高くなる。

SNSで指摘されたように冬の装備が明らかに不備だった。

*悪天候だった30日〜31日は西吾妻避難小屋で過ごしたのだろうか?そうだったら生死を分けた要因だろう。

以上、この3点が遭難の起因に繋がってと思われます。尚、お二人の登山技術はどの程度かは別問題として検証しています。

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もしも自分が雪山で遭難してしまった場合、どのように対処するのが良いのか、改めてご紹介します。

寒さをしのげる場所でじっと待つ

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体力の温存や大きく登山ルートを外れることを避けるために、その場から動かないのが無難です。但し、雪崩や危険性がある場合は、安全な場所に移動しましょう。来た道を戻れば帰れるのではないか?とむやみに動き回るのは非常に危険です。体力が削られる上に、吹雪で視界が悪い場合は、方向感覚が失われて滑落する恐れも。遭難してしまった場合は、木の根元に雪洞を掘って、寒さをしのぎながらじっと待つことが意外に大切なことなんです。

携帯電話の扱い方に注意

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寒い環境下では携帯のバッテリーの消耗が激しくなります。

そのため、使わない時は電源を切り、上着のポケットや服の中に入れて、温度が下がりすぎないように注意してください。また、吹雪が止んだタイミングで樹木など遮るものがない場所に移動すると、つながることもあります。連絡ができる場合は、119番にかけて救助の要請を。

救助班に認識されやすい工夫を

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捜索の気配がしたら、救助の人からもわかりやすいように、高台に移動して合図をします。

この時、目立つ色のタオルなどがあるとより認識されやすくなります。もしものことを考えて、持ち物を赤や黄色などの原色系にすることも、一つの対策と言えます。適切な行動が生存確率を高める。吹雪のために視界が悪く、意図せず迷い込んでしまったというケースもあると思います。そんな時、正しい対処法を知っているか否かで生存できる確率が大きく変わってきます。

冬の登山を楽しむ前に、いざという時の対策などをしっかりと確認しておいてください。

2022/2/8

ガイド大槻恵太郎

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